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ダングラールとその娘

「モンテ・クリスト伯」第6巻 292ページより


結婚が目前に迫った段になって、突然嫌だと言い出すユージェニー。
面食らったダングラールは、その理由を変わり者の娘に尋ねる。

   「理由ですって?」と、ユージェニーは答えた。「べつにあの人が、ほかの人にくらべてみっ
 ともないとか、ばかだとか、不愉快だとかいうのではありませんの。それどころか、アンドレア・
 カヴァルカンティさんは、人間を顔や風采ばかりで見たがるような人たちにとっては、ずいぶん
 りっぱなお方だろうと思いますわ。 (後略)」


誰にも縛られず自由に、独りで生きていきたいという、この時代の女性としてはあまりにも
先進的すぎたユージェニーの主張。そしてそれを理解できない愚鈍な父親は、
そんな娘をただ「かわいそうに!」と不憫がる。それでもなおユージェニーは負けていない。

   「かわいそうですって!」 と、ユージェニーが言い返した。「かわいそうですって! とんで
 もない。そして、 そんな大げさなおっしゃり方をなすって、それはまったくお芝居じみた、心に
 もないことをおっしゃっているんだと思いますわ。それどころか、わたしとても幸福ですの。なぜ
 って、何ひとつ不足はないんですもの。 (中略) こうして、コミック・オペラの台詞そのままに、
 きれいであり、頭がよく、しかもなにか才能があり、そのうえお金持でもあるというわたし! これ
 はたしかに幸福ですわ! かわいそうな女だなんて、どこを押したらおっしゃれますの?」


金持ち娘特有の高慢ちきっぷりも、ここまで自信満々に言い切られると読者としては
逆に気持ちがいいかもしれない。
しかし父親のダングラールは当然ながら娘のこの態度を、そうは感じなかったようだ。

   ダングラールは、傍若無人とさえ言えるほど傲然として、微笑さえ浮かべている娘を見なが
 ら、思わずなぐりつけたい衝動にかられて、それを声に出さずにはいられなかった。だが、どう
 やらそれだけで思いとどまった。


お父さん、よく思いとどまれましたね。偉い。

ダングラールは、彼の銀行の破産の憂き目から逃れるためにも、何としても娘と
アンドレア・カブァルカンティ公爵を結婚させる必要があった。
勿論娘の幸せを願ってのことではなく、三百万フランのカタとして嫁がせるのが目的だった。
父からそう聞かされても動じないユージェニーは、密かに計画している自らの目的のために
その結婚を表向きは承諾する。


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