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リュシアン・ドブレーという男

こんにちは、團テス子です。

本日はアルベールの友人の一人であり、ダングラール夫人の不倫相手
リュシアン・ドブレーさんについての考察です。

初めに申しておきますと、わたしはこのドブレー氏が嫌いです。
「モンテ・クリスト伯」の中でのイケ好かない男キャラNo.1なのです。
これは女目線でこのキャラを見るからそうなのであって、男性の読者の方には
このドブレーのいけ好かない感じ、もしかしたら今ひとつピンとこないかもしれませんが。


さてリュシアン・ドブレー。
ダングラール夫人エルミーヌとは足かけ四年間、そういう仲であり続けた彼ですから
もともとパリ社交界での紳士淑女の恋愛遊戯については、それなりに経験値もあるのでしょう。
そして肩書きは内務大臣秘書官。超エリートですね。
彼の容姿についての描写ですが、三巻の初登場時に詳しく書かれております。

  背のすらりとしたブロンドの髪をした青年、顔色は青白く、落ち着きのある灰色の目、
 唇は薄く、冷やかで、身には彫のある金ボタンのついた紺の燕尾服を着け、襟飾は
 白、絹紐でつるした鼈甲縁の片眼鏡、それを時折、眉と頬骨の筋肉を動かしては、
 右の目の凹みにはめるのだった。


かなり神経質そうなインテリタイプをテス子は想像してしまいました。
年齢については、どの位なんでしょうか?
「青年」とありますしダングラール夫人の不倫相手で、そして20歳のアルベールの友人という
設定ですから、このあたりから予想してみても28歳~33歳あたりではないでしょうか。
同じく友人のシャトー・ルノーがやっと30歳ですからね。
エリート独身貴族で男盛りなのは間違いないですね。

では早速このキャラクターの「いけ好かない言動」について、本文から抜粋した文章で
考察してみましょう。


友人から、アンドレア(ベネデット)との結婚が破談になったユージェニーを、
ダングラール家の友人として結婚してやるべきだと焚きつけられ、抵抗するドブレー。

  それでいながら、ドブレーは、じつは相手に言いまかされたいとでもいったような気持ち
 だった。
  というのは、彼自身としても、そうしたことを幾度か考えてみたことがあるからだった。


えっ、考えたことあるんだ!と初めてこの小説を読んだときにわたくしはツッコミを入れました。
ダングラール夫人と不倫関係でありながら、その娘ユージェニーとの結婚も考えてみるなんて、
さすがにツラの皮の厚い男です。
一応考えてはみたけど、この後の本文にもあるように、あの手強いユージェニーとはいくら
お金持で美人ではあっても、とてもまともな夫婦にはなれそうにないと踏んだみたいですね。
彼のようなタイプでは、恐妻家なんて以ての外でしょう。


次。ダングラール男爵夫人とドブレーの決別のシーン。
夫に捨てられた後、自分を頼って訪ねてきたダングラール夫人に対し、冷淡な態度を示すドブレー。

  「わたし、捨てられたんだわ!」と、彼女はくり返した。「おお、わたし、ほんとに捨てられた
 んだわ……そしてあなたのおっしゃるとおり、みんなにも、わたしの捨てられたことがわかるん
 ですね。」
  あれほど気位の高い、しかもあれほど夢中になって惚れ込んでいた彼女が、いまドブレーに
 答えられることのできたのはこれだけだった。
  「でも、お金がおありになりますからな。とてもお金持でさえおいでですからな。」と、ドブレーは、
   紙入れのなかから、そこに入れてあった何枚かの紙幣を取り出し、それをテーブルの上になら
 べた。
  夫人は、胸の動悸をおさえ、まぶたにあふれようとする涙をおさえるのに気をとられて、彼のな
 すがままにさせておいた。だが、やがて、自尊心が勝利をしめた。そして、動悸だけはおさえるこ
 とができなかったにしても、涙だけはくいとめることができた。


今日の日を予感し、予め用意していた夫人との共同事業による収入を折半し、百五十万フランを
彼女に渡したドブレー。
破産した銀行家の妻とこれ以上親密な繋がりがあっては、自分にとって何のプラスにもならない。
金の切れ目が縁の切れ目とばかり、もはや自分にとって何の存在価値もなくなった夫人を
冷たく追い払う。
そして夫人が出ていった後の、ドブレーのこの言葉が見物です。彼の本性が垣間見れます。

  「ふん!」と、彼女が出ていくやいなやドブレーが言った。「おめでたいな。これからは取引所
 へも行けないことだし、せいぜい邸に引きこもって、小説本をよんだり、ランスクネ(トランプの一種)
 でもするよりほかはないだろうさ。」

お前、何様だ!
やはりエルミーヌを相手にするくらいですから、お互い自分が一番大事で可愛い、似た者同士
な不倫カップルだったということでしょうか。
そしてこの後に問題発言が。

  「残額百六万フランというわけだ。」と、彼は言った。「それにしても、ヴァランティーヌさんに
 死なれたのは残念だったな! いろいろな点から、あのひとだったらおれの気にいっていた
 のだったが。あのひとだったら結婚してよかったんだが。」

マクシミリアンという男性を選んだ賢明なヴァランティーヌのこと。
きっと彼女の方から「お断り」と言われるでしょう。

この男にとっての「いろいろな点」というのは、ヴァランティーヌがお金持であること、
大人しい(ここポイント)美人であること、そして父が検事総長なので内務大臣秘書官である
彼としては、今後ビジネス上でも役に立つのでしょう。そういう「いろいろ」なんだろうと
推察されます。
結局、後にヴィルフォール家もベネデット裁判をきっかけとして一家離散状態になりますから
彼はそうした様子を眺め、まず間違いなく自分のこの発言をあっさり撤回し、
「やはり死んでいてくれてよかった!」
なんて薄情なことを考えるんじゃないでしょうか? 恐らくそういう男です。

あともう一つ。これはさすがにわたしもかなりの深読みかな、とは思っていますが
彼はこういう発言もしております。

ベネデット事件の裁判につめかけたドブレー、ボーシャン、シャトー・ルノーの面々。
友人同士、顔を合わせたその場で話がヴィルフォール夫人に及ぶと、ドブレーが言います。

  「気の毒な人さ!」と、ドブレーが言った。「おそらくほうぼうの病院のためといって、メ
 リッス水をこしらえたり、自分や友だちのためといって、コスメチックでもつくっているにち
 がいないのさ。噂によれば、ああした種類の道楽に、年に二三千エキュもつかっている
 ということだ。だが、たしかに君の言うとおりだ。どうしてやってこないのかな? ここで
 会えたらうれしいんだが。僕はあのひとが大好きでね。」

ダングラール夫人と別れて、今度はヴィルフォール夫人を狙ってるんでしょうか。
ヴァランティーヌと結婚してもいいと考えていた男ですから、継母のエロイーズにだって
ちょっと目をつけていたかもしれませんよね。まだ25歳ですし。
ヴィルフォール夫人、毒殺犯なのに。
この人が作ったコスメチックなんて怖くて使う勇気がありません。

さて七巻。ダングラール夫人と逢引していた安ホテルで、アルベール、メルセデスと出くわします。
ドブレーは友人の不幸な境遇を目の当たりにし、とってつけたような同情を示しますが
アルベールからきっぱり断られます。

  「ありがとう。」と、微笑しながらアルベールが言った。「だが、僕は不幸ではあっても、
 そうとう金もあることだし、誰にも助けを求めずにすむんだ。僕たちは、パリを離れようと
 思っている。しかも、旅費をすっかり払っても、五千フラン残っているんだ。」

何不自由なく優雅な生活を送っていた貴族の友人が、今はたった5千フラン(500万円)程度の金で
これからを暮らしていかなければならず、しかもそれをまったく不幸なこととは思っていない。
そのときダングラール夫人と相場で儲けた100万フランを懐に持っていたドブレーは、そんな
アルベールの言動に自分が恥ずかしくなります。

  このおなじホテルに、ついいましがたまで二人の女がいて、その一人は、とうぜん
 のこととして不名誉にさらされ、外套のかげに百五十万フランの金をもちながらも、これ
 からみじめな気持で暮らしていかなければならないというのに、ほかの一人は、不当な非
 難にさらされながら、不幸にあってますます気高く、ほんのわずかの金だけで裕福な気持
 になれようという、それやこれやのことを考えてみずにはいられなかった。

そして色々と考えた結果ドブレーがやったことというのは、マドレーヌ大通りにある家賃5万フランの
美邸を購入したことなのですね。
テス子にはこの行動の意味するところが、何遍読んでも理解出来ませんでした。
アルベール親子の無欲さと清廉さに打たれてやったことが、邸の購入。
こいつは一体何を考えてるんでしょうか。
儲けたお金をすべて孤児院に寄付したというのなら分かるんですが。
ドブレーのことだから財テクかとも思ったんですが、メルセデスとエルミーヌを比べた後の
行動なので、となると「邸を買う」イコール身を固める決心をしたという暗示なのでしょうかね?
だれかーここをどう解釈すれば良いのか教えてくださいましーー。

というわけで最後の最後に訳の分からないことをするあたりもやっぱりテス子にとっては
「いけ好かない」キャラなのでした。


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